私の中のあなたの世界

朝、6時に起きヨガをして、スムージーで軽い朝食をとり、新聞に一通り目を通し、身支度を整え家を出る・・・
それが、いつものさやかのルーティン。

でも、その日はいつもと違い何となく違和感を覚えた朝だった・・・
6時に起きヨガをして、スムージーを飲み、新聞に目を通し、身支度を整え家を出た。
玄関のドアを開けて、一歩前に出た途端、物凄い勢いでエレベーターで下に降りるような感覚に襲われ「ひゃ~っ!」と思わずしゃがみ込み、さやかは頭を抱えた。
高層ビルの屋上から、一気に地下室まで下りたような感じで、耳もキーンとした。
一体何が起きたのか、さやかには全く想像もつかない。

下に降りる感覚がなくなると、しだいに、さやかも落ち着いてきて、キーンとする音も聞こえなくなった。

さやかは、ゆっくりと立ち上がった。

目の前に映る景色はいつもと変わらない景色があった。

でも、何かが違うような気がする・・・・

さやかは、空を見上げた・・・・・「はぁ?」

「何?・・・空って、こんな色だっけ?」

さやかの見上げた空の色は、透明でキラキラ光っていて光輝く流れ星がビュンビュン流れていて、さやかはその空に目を奪われていた。
すると、その空はだんだん、目の前の景色を覆い、自分の周り全体を空が覆い、自分の足元には、どこまでも続く地平線が広がっていった。



自分は一体、今、何を見ているのか?

自分は一体、どこにいるのか?

さやかは、戸惑うばかり。


・・・・でも、何となく、心地がよくて・・・ホッとして・・・・体の緊張感がほぐれていき・・・

何だろう・・・?この感覚・・・


何となく、この心地いい感覚にひたっていると、どこからか声が聞こえてきた・・・かすかな声・・・

かすかな声は、しだいに近づいてきて、はっきり聞こえる・・・「私はあなた、あなたは私」

「私は、いつでもあなたの中にいます。ここは、あなたの中の私の世界」



あなたの知らない世界ではなく、あなたの中の私の世界?

つまり、私の中に、あなたがいるってこと・・・・

そして、私の中には、あなたの世界があるってこと・・・

何か、ちょっと、分りづらいけど何となく分かった。



「私は、いつもあなたの中にいて、あなたに、いろんなメッセージを送っています。
あなたの心が落ち着いている時は、メッセージは届くけど、あなたの心が乱れている時は、なかなか届かないようです。
私は、あなたと共に、いろんな冒険をしに、やってきました。
あなたが、いろんな冒険することで、私のアイテムは増えていき、時々、あなたを助けるために、そのアイテムを使うこともあります。
そして、冒険が終わる時、それらのアイテムは、あなたに宝物として贈られるのです。


あなたが、今、目にしている現実と言われるその世界で、私と共にいろんな冒険を楽しみましょう。
いつでも、私はあなたの中にいて、メッセージを送り続けます。
その事を忘れないでください。」


その声が、聞こえなくなると、だんだん周りの景色は元に戻っていき、最後に空の色もいつもの青い空になった。



さやかは、今、自分に起きた不思議な体験にドキドキしながら、深呼吸した。

一回、ふぅ~

二回、ふぅ~

三回、ふぅ~


その時、「おはようございます、いい天気ですね」と見知らぬおばさんがニコニコしながら挨拶してきた。

「あっ、おはようございます」と、さやかが言うと

「今日も、いい日になりそうですよ」と言って、さやかの前を通り過ぎていった。

さやかは、見知らぬおばさんの後ろ姿を見送りながら、初めて見るおばさんだな・・・と思った。

よく見ると、そのおばさんの手にはメリーポピンズの映画に出てくるような白いパラソルを持っていて、何だか楽しそうに歩いていた。