見覚えのない電話番号
突然、携帯電話の着信音と同時に頭に衝撃が走る!
うたた寝をしていた、ももは慌てて目を覚まし机に額をぶつけてしまった。
額を撫でながら、誰だろう?と携帯を見たが、見覚えのない電話番号。
ももは、電話に出ようか迷った。
もしも、電話の相手が、私のストーカーだったら(ももは少々自意識過剰なところがある)私の声を聞いて変な想像してニヤニヤ・・・なんて絶対嫌だ!
もしも、電話の相手が、オレオレ詐欺の彼氏バージョンで、「オレ、やばいんだよ!今、事故っちゃって、事故の相手がヤバい奴で、今日中に入金しなければいけない会社のお金、賠償金だって、持っていかれちゃって、もも、助けてくれ!」なんて言われたら、すぐに彼氏の口座に振り込んでしまいそう・・・って、彼氏いないんだっけ💦
もしも、電話の相手が、宗教の勧誘で「あなた、最近悪い事起きてないですか?今すぐこの教団に入れば幸せになれますよ」なんて言われたら、確かに悪い事起きて・・・あっ!たった今、額をぶつけてしまった!悪い事・・・?きっと、すぐにでも教団に入ってしまいそうだ、そして洗脳されてしまいそう・・・
そんな、妄想が、ももの頭の中を駆け巡り、どうしよう、どうしようと、小さなもも(ももの分身)がジタバタしていると、着信音がピタリと止んだ。
えっ!切れたの?
ももは、心がざわざわしてきた。
何で、切れたの?まだ、出てないのに・・
そんなの、ある?
確かに電話に出るか出ないか迷ったけど、出るって選択肢0パーセントではなかったのに、あきらめたんだ・・・
何だか不完全燃焼な気分になった。
そして、何だかわからないけど、負けた気がした・・・
しーんと静まり返ったこの部屋に、再び携帯の着信音
ももは、携帯にとびつき
「はい、大石ももですが」
「ふ、ふ、勝ったね。一回目の電話で、ももが出るか、出ないか、リコと勝負してたんだ」
と電話の向こうでサチの笑い声
サチ、携帯変えたんだ・・・・・・番号も
夢を見る星
秋も深まり、山々の木々は赤や黄色の葉に変わり周りの景色に彩りを添えた。
そんな、景色をボーっとしながら、何となく黄昏ている、いち子。
この星に来て、もう六十年が経とうとしている。
自分は何をしに、此処に来たのか?
あまりにも、時間が経ちすぎ、あまりにも、いろんな事が起きて、それらに必死になって対応してきて、此処にきた目的を忘れてしまったのだ。
記憶の迷子。
もうすぐ、日が暮れる。
青空だった空色は、薄くなり灰色の雲が流れていく。
秋の夕暮れは、どこか寂しく冷たい風が吹いてきた。
自分の元いた星も、こんな感じだったのかな?
いち子は、急に寂しくなった。
空を見上げると鳥の群れが、自分達の行くべき場所に飛んでいった。
少し遅れて、一羽の鳥が飛んできた。
あの群れから遅れてしまったのだろうと、いち子はその鳥を眺めていると、その鳥は、いち子を目がけて飛んできた。
近づいてくるにしたがって、鳥の姿がはっきりしてきた。
銀色の翼・・・いや、銀色の鳥だった。
うそっ!銀色の鳥?
いち子は、驚いた。
銀色の鳥は、いち子の頭上までくると、何か光のようなものを放ち、いち子はその光に包まれた。
光に包まれた、いち子の体は、フワッと宙に浮き、銀色の鳥はいち子を背中に乗せて舞い上がった。
すると、目の前に大きな丸い水晶で出来たトンネルのようなものが現れ、その内側は透明でキラキラ光っていた。
銀色の鳥は、いち子に「あなたは、この星で夢をみたくてやってきたんでしょ?ずいぶん長い間夢を見てきましたね。そして夢の中で、いろんな経験をして、いろんな感情を体験する事ができましたね。あなたの元いた星で、あなたは、何不自由なく暮らしていましたが、それがあなたにとっては、退屈で退屈で仕方なかった。そんなあなたのために、眠って夢をみるこの星を見つけたのです。夢の中では、自分の思うままには、いかなかったり、逆に思ってもいない事が起きたり、様々なアトラクションのような出来事が、仕掛けられていたので、予測がつかない分、楽しむ事ができたのでは?
そしてあなたは、この星でずっと眠り夢を見て、今やっと、目を覚まそうとしているのです。
さあ、今度はどんな星に行きましょうか?」
と言うと、いち子を背中に乗せて、透明でキラキラ光るトンネルに吸い込まれて行った。
カレンダー
雪が降ったかと思えば、今度は雨が降り
氷点下の朝でも日中は、かなり気温が上がったり
今年の冬の始まりは、なんか、いつもと違う
季節の変わり目に、いつも以上に翻弄されながらも、カレンダーは最後の一枚になってしまった。
めくられた、11枚のカレンダーには、様々な足跡がつけられている…
そして最後の一枚には、どんな足跡がつけられるんだろう…おそらく毎年の事だけど、乱れに乱れ、一息ついて気が付くと、どこかのお寺の鐘が聞こえてくるんだろうな…
晩秋
ここのところ、日増しにいっそう、寒さを感じる日々…
今朝は氷点下、これから本格的に北国は冬を迎える。
窓の外を眺めると、名残惜しそうに、落ち葉が、ハラハラ舞っていた。
ストーブの上には、ヤカンが湯気をたて、足元には、猫が丸くなって寝ている。
11月半ばの北国の我が家