見覚えのない電話番号

 
 
 突然、携帯電話の着信音と同時に頭に衝撃が走る!
うたた寝をしていた、ももは慌てて目を覚まし机に額をぶつけてしまった。
額を撫でながら、誰だろう?と携帯を見たが、見覚えのない電話番号。
ももは、電話に出ようか迷った。
もしも、電話の相手が、私のストーカーだったら(ももは少々自意識過剰なところがある)私の声を聞いて変な想像してニヤニヤ・・・なんて絶対嫌だ!
もしも、電話の相手が、オレオレ詐欺の彼氏バージョンで、「オレ、やばいんだよ!今、事故っちゃって、事故の相手がヤバい奴で、今日中に入金しなければいけない会社のお金、賠償金だって、持っていかれちゃって、もも、助けてくれ!」なんて言われたら、すぐに彼氏の口座に振り込んでしまいそう・・・って、彼氏いないんだっけ💦
もしも、電話の相手が、宗教の勧誘で「あなた、最近悪い事起きてないですか?今すぐこの教団に入れば幸せになれますよ」なんて言われたら、確かに悪い事起きて・・・あっ!たった今、額をぶつけてしまった!悪い事・・・?きっと、すぐにでも教団に入ってしまいそうだ、そして洗脳されてしまいそう・・・

そんな、妄想が、ももの頭の中を駆け巡り、どうしよう、どうしようと、小さなもも(ももの分身)がジタバタしていると、着信音がピタリと止んだ。
えっ!切れたの?

ももは、心がざわざわしてきた。
何で、切れたの?まだ、出てないのに・・
そんなの、ある?
確かに電話に出るか出ないか迷ったけど、出るって選択肢0パーセントではなかったのに、あきらめたんだ・・・
何だか不完全燃焼な気分になった。
そして、何だかわからないけど、負けた気がした・・・


しーんと静まり返ったこの部屋に、再び携帯の着信音
ももは、携帯にとびつき

「はい、大石ももですが」

「ふ、ふ、勝ったね。一回目の電話で、ももが出るか、出ないか、リコと勝負してたんだ」

と電話の向こうでサチの笑い声

サチ、携帯変えたんだ・・・・・・番号も