オラクルカードの答え

 直人と彩音が出会ったのは、大学のアニメサークル
お互いにアニメが大好きで、いろんなアニメの話で盛り上がり、付き合うようになった。
大学卒業後、直人はIT企業のエンジニアに彩音は一般企業のOLになった。
仕事に就いてから、直人と彩音は、それぞれ忙しくなり、大学時代とは違って、二人の会う機会も減っていた。
それでも、二人は少しずつ愛をはぐくんでいった。


12月半ばを迎え、街のあちらこちらでは、クリスマスのムードが高まり緑や赤やキラキラな装飾とイルミネーションが主役のように光輝いていた。
そんな、街を歩く時、彩音はいつも、思った。
12月24日は、1年が始まって12か月と24日めだけにこと。
なぜ、12月24日が特別扱いされるのか?
他の日に対して、失礼じゃないか!
と、わけのわからぬ文句をつけて、結局はため息をつく。

そんな、まさにクリスマスに近いある日、直人から「クリスマスイブって予定入っている?」とLINEが送られてきた。
彩音は、驚きながらも「別に何も入ってないけど」と返信
すると「じゃあ、クリスマスイブ、空けといて、いつものあの店で待ってるから」と返信されてきた。

直人の仕事は毎年、年末になるとピークを迎えることを知っていたから、彩音は今年もクリスマスはボッチだろうと思っていた。
・・・・が、しかし今年は何ということだ!あの直人に会えるなんて、まるで織姫と彦星のようではないか・・・(年に1回以上は会ってるけどね)

そして、その日はやってきた。

約束の時間より、5分早く彩音は店に着いた。
店に入り席を見渡すと、直人が心なしか緊張した面持ちで席に座っていた。

「おまたせ、早かったね」
「いや、彩音も早かったじゃないか」

二人、席に座りコーヒーを飲みながら、お互いの近状報告など、いろんな話をし、ゆったり時間が流れた。


話が、一息ついたところで、今まで柔らかな顔だった直人の顔が急に硬い表情になり、彩音をじっと見つめ「あのさ、彩音、あの・・・オレと結婚してください!」
と言ったところで、側にあった水を飲みほした。

彩音は、心のどこかで、こうなるのではないか?という予感は、あったものの、いざ、現実に起きてみると、胸は高鳴り体は硬直して、頭が真っ白になった。
そして、彩音も側にあった水を飲みほした。

「すぐに、返事はしなくていいから、よく考えて返事、待ってるから」

と直人は言って、店を出て行った。


彩音は帰宅すると、ベッドに体を投げだし、今日の出来事を反芻した。

別に直人の事は嫌いじゃないし、むしろ大好きだし・・・
結婚・・・って、これからずっと一緒って事だし・・・
自分のいいところも嫌なところも、全部見られるってこと?・・・
逆に直人のいいところも嫌なところもわかってしまうってこと・・・・

そんな覚悟自分には、あるんだろうか・・・?

彩音の頭の中はもんもんといろんな不安や心配、迷い、ネガティブな思考でおおわれた。

「そうだ!オラクルカードに聞いてみよう!」

彩音は、時々、頭の中を整理したい時に、オラクルカードを使うことがある。

彩音は深呼吸してオラクルカードを切った。
そして、1枚をめくった。


そのカードはNO


えっ!まさかのNO・・・・
何で!?
やっぱり、やめたほうがいいってことなのかな・・・・・



彩音は、直人と出会った、アニメサークルで撮った写真や一緒に行ったアニメのフェスティバルで買ったグッズを眺めていた。
その中に、一冊のノートがあった。

手にとってみるとそれには、好きなアニメの裏情報とかアニメキャラの情報が、事細かに書かれていた。

「そういえば、このノート、直人のノートだった・・返すの忘れてた・・・」

何気にノートの表紙を見ると、直人のイニシャル・・・N.Oと書かれていた・・・

「えっ!そんなことってあり!?」

彩音は、すぐに携帯をとり、直人に電話をかけた。